北野建設のDXについて

経営者メッセージ

私たちの建設業界は、新たな時代の扉を開こうとしています。2024年問題で懸念されている人手不足や長時間労働問題に加え、資材費の高騰や異常気象等、様々な課題が我々に課せられています。これに立ち向かい、成果を上げるためには、組織全体が一丸となって変革を進める必要があります。まず、人材確保のためには魅力ある建設業にすることが不可欠です。そのためにも我々は働き手に対して新しい価値を提供しなければならないと考えています。デジタル技術の導入により、より効率的で魅力的な作業環境を構築し、多くの人材を惹きつけることが求められています。また、現実問題として人口減少と労働力不足が進行していく中で、DXにより日常的なミスを削減し、教育期間を短縮することも事業継続のためには非常に重要と認識しています。
次に、当社のDX推進はゼネコンとして我々の責務であると考えています。元請けであるゼネコンがDXを積極的に進めない限り、建設業界全体が効率化し、競争力を維持することは難しいでしょう。また、建設プロジェクト全体の取りまとめを実施してきたこれまでの知見・経験とその組織力を最大限に活用し、技術の導入やプロセスの最適化を通じて、業界全体の進化を牽引していく覚悟です。

代表取締役会長兼社長 北野貴裕

これらは建設業者だけのメリットではなく、お客様にとってもプラスになるものと考えています。これまで我々が積み重ねてきた知識と経験に、DXによる進化を加えることで、お客様との長期的な信頼関係を築く基盤を作っていきたいと考えています。

一方、デジタルに過度に依存することは避けなければなりません。大切なのは、働き手の意思を尊重し、健全な労働環境を整えることです。また、システムや環境が働き手の力を引き立て、品質向上に貢献すればこそ、お客様からの信頼を築くことができると考えています。当社の創業からの理念に忠実に、信頼と品質を重んじた仕事をしていくことが、今後も我々の使命でありつづけることに変わりはありません。

共に歩む皆様とともに、未来への一歩を踏み出し、建設業界をより持続可能で魅力的なものに変えていく覚悟で進んでまいります。どうぞ、一層のご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

北野建設のDX遂行ビジョンと方向性について(中長期的目標)

DX遂行ビジョン

当社は経営理念である高品質・高付加価値なものづくりを追求するためにデジタル技術を活用し、また地域の建設業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を牽引し、建設業界全体の効率化に寄与することでお客様及び社会の持続的な発展に貢献します。

DXイラスト

方向性

データ活用によるお客様のメリット最大化

プロジェクト全体におけるデータ活用を推進し、設計、施工、メンテナンスなどにおいてお客様に付加価値を提供します。納期遅延や労働力不足等の課題への対処を可能にし、お客様の期待に応えるサービスを継続的に実現します。

長時間労働の削減と働き方改革

デジタル技術を活用した作業の効率化により生産性を向上させ、長時間労働を削減し作業環境の改善を促進します。リモートワークや柔軟な勤務形態のサポートを通じ、従業員のワークライフバランスを向上させ、多様な働き方が可能な環境を整えます。

建設業界の魅力向上と人材確保

建設テック等の先端技術の開発や導入を通じて、建設業界のイメージ向上を図ります。若手層に対してデジタル技術やスマートな建設手法の魅力を伝え、業界への参入や長期的なキャリア形成を促進します。

関係会社との連携

ゼネラルコントラクターとして、地域の関係会社を巻き込んだデジタル技術の導入を推進します。共通のプラットフォーム構築やデジタル連携の強化を通じ、サプライチェーン全体の効率化と業界全体の持続可能性を向上させます。

DX推進プロジェクトについて

施工管理業務の変革

ドローンやAI、機械の自動化を含む建設テックの導入にも積極的に取り組みます。また、現場内外での情報共有の仕組みを整備し、より高品質・高効率な施工方法の確立に役立てます。最新のIT技術を無事故無災害実現のために活用します。

設計業務の変革

BIM技術を検討し設計業務に適用します。設計BIMから施工BIMまで包括的な活用を検討し、プロジェクト全体の効率化を模索します。

管理部門の改革

管理部門においてもRPAや大規模言語モデル(LLM)等の生成AI技術の導入を検討するとともに、ツールの導入だけでなく業務プロセスの再構築(BPR:Business Process Reengineering)を行い、生産性向上を目指します。

データ活用

業務データの有効活用を実現します。データ蓄積基盤の構築と分析手法の検討を行い、より高品質、高付加価値なモノづくりに役立てます。また、データの可視化による迅速な経営判断を目指します。

インフラ整備

柔軟性や拡張性の向上及び最新技術を活用するためのクラウドシフトに加え、セキュアなネットワーク構築も行います。インフラ整備においては柔軟性とセキュリティのバランスを考慮し、効果的なクラウド活用を模索します。

基幹システムの再構築

基幹システムの再構築を行います。レガシーシステムを刷新し、新技術の導入とビジネスプロセスの最適化を推進します。周辺システムとの連携も促進し、データをシームレスに活用できる環境を構築します。

当社のサイバーセキュリティ対策について

ITインフラの企画・構築・運用管理サービスを対象にインシデントの抑止に努めているほか、サイバーセキュリティの脅威に対する防御として、以下の「組織・人的対策」および「技術的対策」を実施していきます。また、これらの対策はサイバーセキュリティの環境が日々変化することを考慮し、継続的に見直し、更新し続けます。

サイバーセキュリティイメージ

組織・人的対策

  • 情報セキュリティ教育、注意喚起の実施
  • 不審メール対応教育の実施
  • インシデント発生の兆候の速やかな検知・適切な対応・連携体制の整備

技術的対策

  • エンドポイントデバイスのセキュリティ強化(暗号化、振る舞い検知、BYOD利用制限など)
  • 多要素認証を利用した認証機能の強化
  • 不審な通信などを検知するネットワーク監視
  • 社内情報資産に対する脆弱性の管理
  • SOCの活用による組織全体の24時間情報セキュリティ監視

遂行体制

組織

  • 社長直轄でDX戦略推進本部を設置し、DXに関する意思決定と遂行を効率的に行います。進捗状況や課題については経営会議にて議論し、戦略や方針についての速やかな意思決定を行います。
  • DX戦略推進本部は組織内の異なる部門との連携を促進し、迅速かつ継続的なDXの推進を実施します。
  • DXに関する全社横断的な議論を行うための会議を行います。この会議は、異なる部門の代表者や専門家が参加し、DX施策に関する知識と情報の共有を全社的に行います。また、役員会においてもDXの進捗状況や課題について報告し、必要に応じて方針や戦略を変更しながら進めてまいります。
  • 社内リソースに限定することなく、ITベンダーとのパートナーシップにより社外リソースも積極的に活用しDX推進を加速させます。

人材育成

  • DX遂行に必要な人材を確保するために、研修プログラムを実施します。
  • ロードマップの作成により、従業員がDXに必要なスキルを段階的に向上させるための計画を策定します。
  • ITベンダーとの協業を通じて、実践的な経験を積むOJT(On-the-Job Training)にて実務でのスキル向上を促進します。
  • IT関係の資格取得の支援を行います。

計画達成のための主な指標

  • 労働基準法第36条時間外労働の上限規制の100%順守
  • 現場利用システムの刷新及び利活用促進:2025年度末までに活用率 90%
  • AIやRPA等の導入による工数、時間の削減目標:2025年度末までに年間 4,800時間削減